日時:2026年3月18日(水)午後
場所:厚労省共用第5会議室(厚労省との面談)/厚労省記者クラブ(記者会見)
面談参加者:
厚労省参加者(敬称略):
最上亮(厚労省年金局/年金課/年金制度企画専門官)
川邉俊哉(厚労省年金局/年金課/企画法令第一係)
北澄亜希子(厚労省年金局/事業管理課給付事業室/障害給付係長)
大形優(厚労省年金局/事業管理課給付事業室/障害給付係主査)
根本亮子(日本年金機構/年金給付部/障害年金グループ/参事役)
他1名(日本年金機構)
障害年金法研究会参加者:
橋本宏子(代表)
関哉直人(事務局長)
安部敬太(運営委員)
飯塚泰雄(拡大運営委員)
谷香保子(拡大運営委員)
久松啓子(拡大運営委員)
藤岡毅(運営委員)
山本奈央(運営委員)
1. 厚労省との面談
面談では、冒頭で、当会橋本代表から厚労省の北澄障害給付係長へ意見及び質問書が手渡されました。この場面は、共同通信・福祉新聞により撮影されました。
続いて、事前に送付した当会の質問事項に対し厚労省の北澄氏、日本年金機構の根本氏が回答を行いました。以下がその質問と回答です。
質問一 改めて「認定調書破棄問題」に対する、厚労省としての認識(責任のあり方含む)を回答ください。回答内容は当会HPにも公表しますので、社会に対する回答をお願いします。
【回答】今回、確認できる限りの、当初の認定調書を確認したところ、認定医を変更した理由は、認定医による記載誤り、関係書類の不備があったが、対面での審査を行うためのスケジュールが合わなかったため、認定医を変更していたものが主でした。認定医を変更した後のプロセスにおいては、たとえば、不支給事案であれば複数の認定医による審査を行っているなど、認定基準等に基づく審査が行われていたものです。また、認定医が変更されたもののうち、当初の認定医の判断から下位等に認定したものの判断の妥当性について、問題はありませんでした。
他方で、別の認定医に変更する際の取り扱いが明確でなかったことなどから、今後、別の認定医に審査を依頼する場合には、より丁寧な審査をするため、当初の認定医の意見も活かし、複数の認定医による審査の対象とします。さらに、障害年金センターの職員等に対するヒアリング調査を行って参ります。
質問二 認定調書廃棄の基本的事実関係
二-1 認定調書廃棄は何時から行われていたのでしょうか。
【回答】現在、ヒアリング調査中です。
二-2 大量支給停止予告問題を受けて出された2018年通知で、複数の認定医による認定を掲げ、2019年7月からスタートとしてセカンド認定を認定の公平性を担保するためと表明し、これについては件数を公表する一方で、これ以降も、秘密裏に認定調書を破棄して他の認定医に認定を委託することを続けてきたのはなぜなのですか。
【回答】他の認定医に認定を依頼した主な理由としては、サービススタンダードを遵守する観点から、主にスケジュールとの関係です。が、さらに、ヒアリングで確認を行っているところです。
質問三 (廃棄予定だったものを含め)認定調書の法的位置付け
三-1 認定調書が公文書であることを認めますか。
【回答】審査に使用した認定調書は、日本年金機構の法人文書となります。
三-2 認定調書が保有個人情報であることを認めますか。
【回答】認定調書に記載されている請求者等の個人情報は、日本年金機構の保有個人情報です。
質問四 「不要と判断した認定調書(未完成のものを含む)を廃棄すること」を厚労省として明確に禁止する文書を発出しますか?
【回答】現在は、廃棄しない取り扱いとしているものと承知しており、1月の報告書にも記載している通り、別の認定医に審査を依頼する場合には、より丁寧な審査とするため当初の認定医の意見も活かし、複数の認定医による審査の対象としております。したがって、審査資料として保存されることとなります。
質問五 認定調書の保存期間
今後、認定調書の保存期間を原則30年とし、但し、請求者生存中は廃棄しないとする当会の提案について回答ください。
【回答】日本年金機構内の文書保管方法等を踏まえ、ご意見として承ります。
質問六 認定すべき件数と認定医の人数が見合っておらず、原告の認定医による判定制度は破綻しており、認定医による判定の仕組みを抜本的に見直すべきとの当会の意見に対して回答ください。
【回答】より丁寧な審査体制の確保に向け、障害認定医の人員や認定回数等を含めて体制確保に努めています。
質問七 一切責任が問われることがなく、秘密裡に職務を行う不透明なブラックボックス体制こそが「認定調書の秘密裡の破棄」を産み出した過ちであるとの当会の指摘についてどう考えますか?
【回答】ご意見は、医学的判断を行った認定医の氏名等を明らかにすべきとのご主旨と承知しておりますが、認定においては、障害に応じて必要な知識・経験のある認定医に審査を依頼しており、認定医の氏名等を開示することは考えておりません。
質問八 認定医に掛かる費用面
八-1 認定医に支払う委託料(謝礼)は1件いくらですか?
① 金額を回答してください。
② どの医師でも同額ですか?
③ 異なる場合の費用の基準を回答ください。
④ 日当の場合、1日いくらですか。
⑤ 日当の場合の認定調書作成のノルマがあれば回答ください。
⑥ 常勤医の場合は年間契約と思いますが、年間の金額を回答ください。
【回答】(質問八-1①~⑥についての回答)個々の認定医との契約にかかわる事項であり、ひろく一般に公表しているものではないため、回答は差し控えさせて頂きます。
八-2 認定医に支払った委託料の総額を回答下さい
①令和3年度、4年度、5年度、6年度、7年度、8年度
但し、8年度は集計可能な時期分まで。
【回答】
令和3年度 約3.2億円
令和4年度 約2.6億円
令和5年度 約2.4億円
令和6年度 約2.8億円
令和7年度2月分までの集計で 約2.6億円
※令和8年度は未到来
② 再認定に掛かった費用 令和6年度、7年度、8年度
但し、8年度は集計可能な時期分まで。
【回答】再認定分を分けて計上するしくみになっておりません。
質問九 認定医の人数、登録制度等
九-1 認定医の人数
① 令和3年度、4年度、5年度、6年度、7年度、8年度
但し、8年度は集計可能な時期分まで。
【回答】九-1①③を合わせて回答します。
令和3年度末時点で182名
(内訳 内部障害25名、外部障害38名、精神障害119名)
令和4年度末時点172名
(内訳 内部障害23名、外部障害37名、精神障害112名)
令和5年度末時点167名
(内訳 内部障害22名、外部障害37名、精神障害108名)
令和6年度末時点168名
(内訳 内部障害26名、外部障害36名、精神障害106名)
令和7年度2月末時点163名
(内訳 内部障害22名、外部障害36名、精神障害105名)
※令和8年度未到来
② 上記①の常勤医と非常勤の人数の内訳
【回答】認定医は個々に契約をしており、すべて非常勤です。
③ 上記①の内部障害・外部障害・精神・難病等の専門性の内訳
【回答】上記①で回答済み
④ 障害年金用「診断書様式」ごとに認定医の担当が分かれていればその内訳
【回答】難病等ふくめ、障害認定医の専門分野に着目して認定分野を依頼していますが、障害年金用診断書様式の担当ごとで分けた集計は行っておりません。
九-2 精神(知的・発達含む)の障害認定について、内科・外科等の専門外の医師が認定することはありますか。ある場合は件数(令和5年度・6年度・7年度)を教えて下さい。
【回答】精神の障害にかかる認定業務は、内科・外科等の専門外の障害認定医が行うことはありません。
九-3 認定医の名簿登録制度
① これを作る予定はありますか?
② その理由を回答下さい。
【回答】(九-3①②を合わせた回答)認定医になって頂くにあたり、定量的な基準を一律に設けることは考えておりませんが、契約にあたっては障害年金制度の趣旨を理解して頂いた上で、一定程度の臨床経験を有し、障害の認定を適切に実施して頂ける医師を関係団体から推薦頂いています。
そのうえで、認定医会議や個別の説明を通じて認定基準や認定事例に関する研修を行うなど、理解を深めて頂くための取り組みを随時実施しております。
質問十 「認定調書廃棄問題」に関する第三者委員会について
十-1 発足する予定はありますか?
十-2 その理由を回答ください。
【回答】確認できる限りの認定調書を調べたところ、認定医の記載に誤りや疑義があったが、対面審査が基本のなか、主にスケジュールの観点から別の認定医に依頼し直したものであり、認定基準等に違反するものではないと考えているところです。
そのうえで、今回さらに職員からヒアリングを行うものであり、第三者委員会を立ち上げることは考えておりません。
質問十一 今回の問題について、厚労省として、年金機構に対する行政処分を予定していますか。予定している場合の処分の内容を教えてください。
【回答】必要があれば、指導は行って参りますが、いずれにしても、ヒアリング調査を行って参ります。
質問十二 その他、当会の意見に関して、コメントがあれば回答ください。
【回答】平素より様々なご意見を頂き、ありがとうございます。頂いたご意見については組織内で共有させて頂きます。
2. 記者会見
厚労省との面談後、厚労省記者クラブにて、記者会見を開きました。読売新聞・東京新聞・共同通信・日経新聞・福祉新聞等の報道機関が参加しました。
会見では、厚労省との質疑内容を報告したのち、(拡大)運営委員が厚労省の対応などについて、次の意見を述べました。
l 「認定調書の廃棄は問題ないが、今後はやめる」という厚労省の言い分は理屈が通らない。面談で厚労省へ追及したところ、「疑念を抱かれる行動はあった。疑念を抱かれない透明性のある認定は必要」だと認めていた。
l 今回、公文書破棄の疑義が生じたからこそ問題が起きている。厚労省の回答は納得できない。身内が身内を調査するのでは自浄作用が働かない。外部による第三者委員会を立ち上げて調査することが必要だ。
l 国民は障害年金の認定調書の存在を知らない。障害年金の制度は当事者にならないとわからない。しかし家族や親せき、身近な誰かが障害年金に関わることはあり得る。ぜひこの問題を報道で取り上げてほしい。
l 障害がある人は増えており、特殊な問題ではない。厚労省側からは、認定医の専門分野内訳について「内部障害・外部障害・精神障害」と回答があったが、重複障害について誰がどうみているのか疑問だ。精神の認定医が減っていることも疑問。公明正大で分かりやすい手続きの観点からも、障害年金に注目頂き、適正な報道をしてほしい。
l 障害年金=特殊な問題とみられ、報道価値がないと見られがちだが、多くの人が年金保険料を払っている。誰もが明日障害者になるかもしれない。すべての国民に関連する権利の問題だ。年金機構職員によって秘密裡に行われたシュレッダー廃棄により、一人1億円くらい給付されていたはずの障害年金が消えたことになる。そして1千億くらいの公費がブラックボックスのなかで決められている。こう考えると、すべての国民に関係する問題だ。
以上の通り、厚労省面談及び記者会見の内容をご報告いたします。