障害年金法研究会
当会による『2025年6月11日付厚生労働省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」及び9月19日付公表資料等に対する意見及び質問』に対する厚生労働省からの回答
※回答はすべて厚生労働省年金局/事業管理課/給付事業室/障害給付係長/北澄亜希子氏
目次
② 当会の「改善策」(1)~(8)の各項目ごとの意見について、どう考えるか回答して下さい。
(1) 事前確認票の等級案欄を精神障害についてだけ廃止し、内部障害、外部障害では継続することは見直し、すべての障害について廃止すべきです。
(6)............ 不支給案件の点検をいつまでに終わらせるのかについて目処を示すべきです。
(7) 理由付記について、抽象的な改善ではなく、なぜ事実関係に基づいて当該等級と判断したのかという適用関係がわかるように記載を抜本的に変更すべきです。
③ 「障害年金業務統計の公表方法等」の(1)~(3)の各項目ごとの当会意見について、どう考えるか回答して下さい。
④ 国会の年金改革法案附帯決議と社会保障審議会での意見を受けて、障害認定の改革に向けた会議を設定する予定はないのでしょうか。
⑦ 上記⑥の点検は対象案件すべてについて行うのでしょうか。これは年内に優先的に実施するとしています。年内に終了するということでよろしいでしょうか。
【回答】
個人情報をはじめとしまして、機構内部の情報に触れる必要があることや、速やかに調査結果をまとめる必要があったことから、日本年金機構と連携のもと、年金局の職員の方で対応した。 また、本年6月13日の社会保障審議会年金事業管理部会において、外部の有識者の方々に対してヒアリング内容も含めた本報告書について報告するとともに、先月9月19日の同部会においても、過去の事案の点検状況や今後の改善の実施状況について報告をしたところ。そのため、現時点で、第三者委員会を設置して改めて調査することは考えていない。
[コメント]
第三者委員会は個人情報保護に留意して調査を行うのは当然のことであるから、外部の第三者委員会委員が個人情報に触れるからという点が、第三者委員会を設置しない理由とはならない。社会保障審議会年金事業管理部会に報告したから、問題は終了したとの回答は、第三者委員会による調査を求めていることに対する回答になっていない。内部調査に対して、下位職員が幹部や組織について不利な情報を回答するはずもなく、厚労省はそのような内部調査で幕引きを図り、逃げ切ろうとしているというほかない。
【回答】
当事者の方々に様々なご意見を伺い、その後の検討によりまして、精神障害以外のすべての事前確認票についても、職員による等級案の記載を廃止することとした。こちらは2025年8月から運用をスタートしているところ。
[当会コメント]
評価できる。事前確認票で職員が等級案を示すことは、精神障害に限らず、認定医がその等級に認定することを誘導する可能性があった。
【回答】
調査報告書の調査結果における非該当割合を障害の種類別に見たときに、精神障害が12.1%、外部障害が10.8%、内部障害が20.6%となっており、令和5年度の障害年金業務統計の結果と比較すると、5年度は精神が6.4、外部が10.2、内部が19.4という状況であったが、そちらと比較すると、特に精神の障害で非該当割合の上昇が大きいことが確認されたという状況がある。それから精神障害については、障害等級の目安と診断書の内容をもとに総合的に認定するという仕組みになっており、5年度と6年度を比較した時に、目安よりも下位等級に認定されて不支給となっているケースなどの増加が寄与していると考えられ、これらの精神障害の事案について障害認定基準やガイドラインに則って適切な認定が行われているかどうかという点を点検することにしたもので、内部障害、外部障害については、医学的な検査数値の客観的な指標等が障害認定基準に定められている点と支給事案について事前確認表等の認定調書等を確認したが、判断の理由が明確に記載されている等、特段の問題点を確認できなかった。また、非該当割合についても5年度と6年度比較して大きな変化が認めらないという認識。そのため、内部障害やご指摘いただいている動作制限により認定する肢体障害については点検することは考えていない状況。
[当会コメント]
厚労省は、2024年度の不支給の割合増だけをことさら注目して、不支給割合が増加して精神障害に調査対象を絞るという。しかし、実は点検対象は精神障害だけではなく「その他の疾患による障害」の基準(認定基準第3の18節)が適用される事案も対象となっている(2025/6/11調査報告書、15頁)。この点は「検査数値等の客観的な指標等がな」い、ことが理由であると思われる(同8頁)。そして、「その他の疾患による障害」が2024年度においてどのくらいの割合で増加したのかの数値は公表すらされていない。つまり、「その他の疾患による障害」を点検対象としたのは、不支給割合が増加したからではなく、認定そのものに不公正が生じやすいためであったと考えるほかない。そうであるなら、客観的な指標等「だけ」で認定しない内部障害や、日常生活動作評価も含めて認定しその評価をどの程度重視するかによって結果が大きく異なる外部障害認定も認定が不公正となる原因が認定の仕方(認定基準)そのものにあると考えられる。そのため、「その他の疾患による障害」と同様にこれらも点検対象とされるべきである。しかし、厚労省は、けんもほろろに不支給割合の増加がないことを理由にこれらの障害の点検を拒否した。内部障害や日常生活動作評価も含めて認定する外部障害の認定が、「その他の疾患による障害」と同様に不公正な状況にあることをまず厚労省は認識すべきである。
【回答】
現在、令和6年度の点検を進めている。その点検結果を踏まえて、令和4年度、令和5年度の点検については改めて整理をすることとされているので、一旦は令和6年度の点検作業を進めることに注力して参りたい。やらないと決まっているわけではない。
[当会コメント]
令和4年度、令和5年度の点検については、やらないと決めてはいない、ということなので、今後も点検を進めるよう求めて行きたい。
【回答】
審査請求・再審査請求につきましては、社会保険審査官及び社会保険審査会法という法律に基づいて国民の権利利益の救済を図るものとして設けられているものと認識している。具体的には現処分に関与しない社会保険審査官・社会保険審査会が決定採決を行うこととなっており、また意見陳述・公開審理など法的に手続きが保護されて運用されていると認識している。このような制度の下で公平な審理が行われている事案については、制度の趣旨も踏まえるとこの枠組みの下で審理が行われるべきものであって、今回の処分庁が自ら行う点検の対象とすることについては考えていないという状況。
(厚労省回答後のやり取り)
安部:審査請求で結論が出たものというのは点検対象にしないという点についてです。審査請求段階であっても再審査請求段階であっても、年金局自らが処分変更して、請求を認めるのは事実上よくあることなので、これは審査請求をやっているからとか、結論が出たからっていうことで点検から外すべきじゃないと思います。処分変更を実際やってるわけだから、そことの整合性が取れないじゃないですか。例えば審査請求の結果が出て再審査請求をやっている途中のものっていうのは、もう審査請求の結果が出てるから点検対象にしないわけですか。
北澄:そうです。
安部:そうすると、今言った通常やってる処分変更との関係はどう考えるんですか。処分変更は保険者の方で自ら自主的に変更するものということです。点検を片方でやってるわけだから、審査請求とか再審査請求にかかってる案件だって点検をやれば処分変更につながるかもしれないわけでしょ。であれば、審査請求をやってない案件だけを点検して、審査請求やって結論が出たものは外すっていう理屈は通らない。その合理的な理由ってないと思うんですけど。自ら処分変更をするというのは、裁決なり決定が出る前の段階ですよね。それはご存知ですよね。
北澄:もちろん。
安部:点検だって一緒じゃないですか。一旦処分したものを点検しているわけ。しかも審査請求も何もされていないのに点検して、不支給案件を自主的に職権で支給にすることもあるわけでしょ、それに対して、審査請求にかかった案件っていうのは、不支給が請求者として納得できないから申し立てをしている。こちらの意思はより明確なわけです。だから、より点検すべき対象として、ちゃんと取り上げるべきだと思います。請求者側と処分庁側とか意見が食い違ってるってことがはっきりしてるわけだから。
北澄:私は審査請求の業務に直接は携わってはいないので知識不足で答えとして不足するかもしれないんですけれども、保険者は保険者意見という形で審査請求・再審査請求に意見を提出すると認識しておりまして、その際に当然保険者として当時どのような考えで原処分を行っているのかを確認すると思っているんですね。なのでその時点で裁決とか決定まで至らなくても、至る前に、保険者自ら、点検と同様に、やっぱり最初の原処分がおかしかったんだとなれば、それは処分変更すると思うので、それは審査請求の流れに乗った方はやはりそこで一旦保険者のチェックが入るという認識でおります。
藤岡:だけど今回、こういう報道等の事実を審査委員も聞いてないわけじゃないですか。審査会の審査委員も、そういう不公正な認定があったんじゃないかということで、厚労省自ら再調査に追い込まれるぐらいの事態だという情報を聞いた上で審査するのか、そういうことは知らなくて、いや、これは厚労省が、保険者がこう言ってるんだからって、正直非常に棄却率が高い審査なり再審査の中で、どうしてもバイアスがかかりますよ。正直、原処分が正しいのではないかと。そういう中で、処分庁自らが再調査になるぐらい今、問題視されているという情報を聞いた上で、審査官なり審査委員が審査するのか、全然違うじゃないですか。審査請求した案件に不公正がないのか。もっと言うと、「正直者はバカをみるみたい」に正しい手続きをやった者ほど救われず、何もしなかった人の方が点検対象となって、何もしてない人が救われて、一生懸命やってた人の方が却下されるっていうバカを見る、非常に不公正な印象を受けるということはちゃんと受け止めていただきたいなという気がします。
安部:審査請求の結果が出てなければ点検するんですか。意見書が出た後だって処分変更することは普通にあるわけです。今、藤岡弁護士から言った通り、通常であればこういう再点検なんかしないわけですよ。審査請求の期限っていうのも厳密で、処分を知った日から3ヶ月を過ぎていれば、処分っていうのはもう確定しちゃうわけですね。だけど、今回はもう特例の特例で全部点検をするわけでしょ。であれば、審査請求にかかっている案件、再審査請求にかかっている案件だって、意見書1回出したって、もう1回ちゃんと点検すべきでしょ。今回、他の不支給案件について点検するのと同じ目線でもって点検して、それでも元の処分が正しかったってことであればそのまま維持すればいいけども、そうじゃなくてやっぱりこれまで点検して支給に変更となった4%のものと同じぐらいにやっぱり不公正な認定だったってことが認められる案件だってある可能性があるわけですよね。そこはぜひやっていただきたいんです。審査請求の結果が出てなければ点検するんですか。
北澄:(この件は)確認させていただいてもいいですか。審査請求の訴えはしたけどもまだ決定まで出ていない(件は点検対象にするか否か)ってことですよね。
安部:年内に点検してもらえるんだったら審査官に決定は伸ばすように頼みますよ。
北澄:わかりました。確認してご連絡させていただきます。
〈10月27日メールでの回答〉
【回答を保留していた事項】
審査請求を行い、まだ決定がされてない場合は点検を行うのか。
【回答】
審査請求中でまだ決定がされていない場合についても、審査請求の枠組みの中で、審理が行われているものであり、原処分庁が自ら行う原処分の点検の対象にはしません。
[当会コメント]
後日回答も含めると、審査請求によって決定が出ていない事案についても、審査請求を行っているというだけで点検対象から外すというのが国の取扱いだというのである。この点、6月11日の報告書では「審査請求で裁決等が行われた事案」を除外すると述べていた(15頁)ものであるから、今回の回答は審査請求の結果が出ていないものも除外することを明確にしたもので、さらに後退している。
行政側を拘束するのは容認決定や裁決だけであり、棄却決定や裁決の後でも原処分庁が処分を見直すことは可能である[1]。にもかかわらず、原処分に納得できず、法に則って不服申立て(審査請求、再審査請求)を行ったものが点検対象とされずに、現処分について、不服申立てをせずに、処分が法的には確定したケースのみについて点検対象とするということに合理性はない。厚労省は、①不服申立てに上げられた案件は、別の法(社会保険審査官及び社会保険審査会法)に基づき審査がされること、②年金機構として再度、意見書を作成することで原処分の見直しをしていることを理由として挙げている。しかし、①については、不服申立てによって認められる割合は非常に限られていて、救済機関としての機能が果たされていない現状があり、②については、不服申立てで出される意見書は原処分通知に添付される「決定の理由」の内容とほぼ変わらない。そして何より、今回の点検は2024年度の不支給増問題に当たって点検を担当するグループとは別の機関、部署で、審査、見直しを行い、かつ、下記(5)のとおり、当初の処分では見落とされていた複数の観点と要素により行うものである。よって、不服申立てを行っている事案および不服申立てによって決定や裁決が出た事案についても、点検を担当しているグループが複数の観点と要素に基づき、不服申立てをせずに処分が確定した事案と同様に点検を行うべきである。
【回答】
まず、点検の進捗状況については、日本年金機構のホームページで随時公表することとしている。点検の結果、支給となった案件は、どのような考え方で支給決定としたか、着目した観点を例示した上で、9月19日、先月の社会保障審議会年金事業管理部会で報告しており、ホームページにも掲載している(すべての件を公表しているわけではなく、いくつかの例示を行っている状況)。引き続き点検を進め、その進捗状況については毎月公表して参りたい。
[当会コメント]
9月19日「「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」への対応状況」[2]には、
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「病状や状態像の観点」では、精神障害について、「当初は、 症状の発現状況(陰性症状の有無、躁状態とうつ状態の期間、頻度等)を踏まえた日常生活の制限の程度を評価した。点検では、 症状の経過や予後の見通し(療養が長期に渡っている、予後が悪い等)を踏まえた日常生活への影響をさらに重視した。」
「生活環境の観点」では、「当初は、 独居や福祉サービスの利用の有無 などを踏まえた日常生活能力を評価した。点検では、その背景の状況 (対人不信、対人恐怖、社会性の欠如、周囲の援助、 IQ 等)をさらに重視した。」「就労状況の観点」では「当初は、就労状況などを踏まえた日常生活能力を評価した。点検では、仕事の内容(単純作業の繰り返し、家業の手伝い等)、就労実態(配慮、勤務日数、職場での意思疎通等)、日常生活への影響(就労の疲労により日常生活で声かけが必要等)をさらに重視した」
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などという一般的記載(3頁)に終始している。少なくとも、どの観点のどの項目に基づき、不支給を支給に変更したのか、それぞれの件数を公表すべきである。
【回答】
点検に従事していただいている認定医は、現に行っている令和7年度の通常の審査と並行して作業を行っている状況。また、不支給の事案の点検については、一旦不支給と判断されたものであるため医学的にも判断の分かれる困難な事例が多く、一定の時間を要する。令和7年の10月、今月から、認定・点検に生じる事務に対応するための職員を増員したところ。点検体制の強化を図ることによって可能な限り速やかに点検を進めて参りたい。メドは現時点で示せない。
[当会コメント]
速やかにめどを示すべきである。
【回答】
理由付記はどのような事実に基づいて総合的に判断したかをお伝えするものであると考えている。今回、見直しとして、認定の根拠となる診断書等の記載について、決定した等級との関係上、どのような判断要素で認定したのかを分かりやすく記載するように改善を行った。改善されたという認識。
[当会コメント]
理由付記が見直しされた2025年8月以降について、現状では、6月11日報告書に記載された事務連絡改正をまだ確認できておらず、その後の理由付記について検証ができてはいない。今後、当会でも事例を集積して改善がなされたかどうかの検討をしていく必要がある。
【回答】
障害年金の審査については、以前は都道府県ごとの事務センターを活用していたが、認定事務の標準化という観点から現在は東京の障害年金センターで集約して審査を行っている。全国からの請求に対して、書面審査を基本としている。実地検調査を行うと、審査件数が現在令和6年度ベースで年間45万件程度ある中で審査に相当時間を要することになるので、運用上の課題があると考えている。現在はセンター集約して書面による審査をしている。実地審査は45万件の申請あるなかで時間を要する。運用上の課題がある。
[当会コメント]
実地調査が必要であると判断するのであれば、実施する方法はいろいろと考えられる。実地調査を年金事務所や区市町村レベルで行うことも検討できるはずである。
【回答】
業務統計は集計自体を年金機構が行っており、システム的な制約等に関して、年金局が全てを把握していない部分もある。今回、年金機構から状況を聴取した上で回答するが、全てが全て把握していない部分もあるとご承知おきいただきたい。その上で、精神・知的障害について、精神・知的・発達の3つの区分に分けるべきとの意見についてだが、現在の障害年金業務統計は、診断書の様式別で集計を行っているところ。現在の障害年金業務統計の精神障害の項目を精神・知的・発達に分けて集計する場合、複数の障害が混在しているケース、発達プラス知的等の場合の集計方法について整理をするとともにシステム改修を行う必要があり、システム改修にかかる期間や費用の確保等の課題があり、そもそもの必要性も含めて検討が必要だ。
[当会コメント]
「精神障害」、「知的障害」および「発達障害」について、同じ精神障害診断書で認定しているにもかかわらず、特に就労が等級認定にどう影響するかについて3つ障害で格差があるようにうかがわれる。格差があるのか否か、その原因は何かを明確にするためにもそれぞれについて集計することは必要である。2つ以上の傷病で請求する場合には、主たる傷病と判断できる場合はそれで集計すればいいし、2つが同程度に障害状態に影響にしているのであれば、それはそれで別にカウントする等が考えられる。いずれにしても、必要だと判断するのであれば、システム上の問題はそれに沿って解決すればいいだけの話である。
【回答】
令和2年の公表はガイドライン施行後3年後ということで、平成29年から令和元年の3年間の実績を検証するために、特例的に手作業で集計した。手作業のボリュームを考えると、現時点で毎年の集計・公表は考えていない。
[当会コメント]
今回、目安より下位等級に認定され不支給となっている事案や等級の目安で2つの等級で下位等級に認定している事案が前年度に比べて多くなっていることが、精神障害で不支給割合が増えたことの根拠であったと報告書にはある(5-6頁)。今回、全体の不支給率が増加したことで問題化して抜き取り調査が行われたものの、仮に前年度と不支給率が同一であったとしても、目安と異なる認定がなされて不支給となるケースが前年よりも増えることもありうる。等級の目安がどの程度重要視されて認定されているかは公正な認定が行なわれているか否かを確認する上での重要な指標と考えるべきである。そうすると、目安に基づいて認定されたかどうか、2つの等級で示された目安については下位等級と認定されたかどうかを集計項目に入れて、各マトリックスについて等級認定の結果は集計し、公表されるべきである。
【回答】
請求書に対する認定結果を集計したものとして適切と考えている。現時点で、このご意見については承るが、変えることは考えていない。
藤岡:認定日請求と事後重症請求について、(統計の取り方には)何の問題もないという、けんもほろろの回答について、実際上、事後重症だけ認められて、認定日が却下されている以上、却下処分がされているわけであって、我々は両方請求書1枚で請求したもので、認定日が却下されていれば、それに基づいて裁判をやってるわけで、非常に重要な事件じゃないですか。それがカウントされないのが適正だっていうのは、全く理解できないんですが、そういう問題意識ないんですか。
北澄:先ほども繰り返しになったんですけど、請求書としてご提出いただいたものに対して、それが受給につながったかどうかっていう観点で集計を行っているものになっています。ただ、そういった考え方で集計すべきだというご意見は、それはご意見として承りたいと思っているんですけども、現時点でその請求書に対してこういう結果になっているという集計となっています。
藤岡:現時点でそうやってきたという事実は分かったけれども、我々から見て、誰から見ても不合理な統計処理なわけだから、そこは見直すべきですよ。そこは考えていただかないと絶対にマズイですよ。
安部:だって処分は2つ出てるわけですよね。そういう意味では2つ処分してるわけだから、処分の数としてカウントすれば、そういったカウントできるはずだと思いますけど。そうじゃないですか。
北澄:現時点ではそういった仕組みになってないので。仕組みを変えていけばいいじゃないかという意見だと承りますけれども、現時点で、この場で、じゃあ変えますとか、変えた方が確かにいいですね、というような回答が今この場ではできません。ご意見としては承ります。
藤岡:別の用紙で2枚出せば別カウントですよね。時間を空けて請求していれば別カウントで、同じ事件について同じ障害について、それがたまたま1枚だからっていうのは本末転倒の話で、実体法上、法律論的にいうと2つの請求をしているわけで、裁判だって、いわゆる訴訟物っていう処分とか請求が2つあるって概念になっているわけだから、明らかに権利論的にもおかしなことで、システムの問題で言い訳はできないという話ですよ。ちょっとそこは絶対再検討するべきです。
[当会コメント]
現在の統計処理では、障害認定日が不支給で事後重症だけ支給の場合には、支給1件としかカウントされず、障害認定日不支給はなかったことになっている。処分が別なのだから、障害認定日請求と事後重症請求の処分結果が違う場合に2つの処分とカウントすることはその気になれば困難なこととは思えない。
【回答】
付帯決議でご指摘いただいた点については、ガイドラインで定めた考慮すべき要素を審査書類へ丁寧に記載することの徹底や、判断のポイントを記載した具体的な認定事例の作成、それから当該事例の職員や認定医への周知、複数の認定医による審査を行うことなど、運用改善を図り徹底することで対応をして参りたい。その上でさらに改善すべき点があるということであれば、検討は行っていきたい。認定基準の見直しについては、障害の状態を適正、公平に判断するよう、障害の分野ごとに専門家による会合を開催して、医学的知見を踏まえて策定したもの。今後も様々なご意見を伺いながら、不断の見直しを行って参りたい。
[当会コメント]
この回答は、年金部会の議論も附帯決議もなかった以前から時間が進んでいないかのようだ。医学モデルに基づき、客観的機能障害に偏重した認定基準や認定方法に根本的な問題があることを厚労省はいまだに認めていないことになる。
【回答】
認定事例は、精神の障害に係る等級判定ガイドラインにおける考慮すべき事項、その判断のポイントを具体的な事例としてまとめて作成するものとされているところ。そのため、現時点では精神の障害についてのみ作成する予定。その他の障害による難病等については、現時点で予定はない。まずは点検を着実に実施して参りたい。
[当会コメント]
精神障害と並んで、不支給率増という数値も確認していないなかで、「その他の疾患による障害」の不支給案件も点検対象に含めたということは、客観的に検査数値などを示しにくい「その他の疾患による障害」の認定の不公正を厚労省も認識しているからと思われる。であれば、精神障害のみならず難病などの「その他の疾患による障害」についても認定事例を示すべきである。
【回答】
先ほどの回答とも重複する部分はあるが、障害年金業務統計では診断書の様式別の集計を行っているところで、「その他の疾患による障害」は血液・造血器と同一様式の診断書になっており、単独の診断書ではないため、「その他の疾患」に限定した集計データは持ち合わせていない。「その他の疾患による障害」について集計を行うことは、現状の集計方法を見直すとともにシステム改修やそれにかかる期間とか費用の確保等の課題があることから、その必要性も含めて検討が必要。
[当会コメント]
上記⑤のコメントのとおり、「その他の疾患による障害」による認定の不公正を改善するためには、その前提としてデータを確保することは必要である。それを前提としてシステム改修を行うべきである。
【回答】
令和6年度の精神障害及び「その他の疾患による障害」の不支給事案のすべての事案について2025年年内点検終了予定。
(厚労省回答後のやり取り)
藤岡:今現在、令和7年の認定医が点検作業をされているということだけど、言ってみれば、認定医がかつて自分で認定したものを自分で再認定しているんですか。最初に不支給の判断したのとは別の人が点検するようにはしているっていうことですか。
北澄:もちろんそこは変えています。
藤岡:ただ令和6年も認定医だった人が点検作業の認定医でもあるわけですね。
[当会コメント]
認定医の成り手がなかなかいないため、令和6年度の認定医はほとんどが現在も継続しているものと考えられ、今回の「点検」は令和6年度に在籍していた認定医が行うのであろう。自分が認定した案件は点検しないとはいえ、認定医の大部分が令和6年度については不公正な認定を行っていた可能性が高く、そういう認定医が行う「点検」が公正なものになるとは考えにくい。本来であれば、令和6年度の認定医全員とは契約を解除し、新たに契約した認定医が点検を行うべきである。そこまでの徹底した検証を行う気が厚労省にはない。このことが、今回の「点検」がカッコ付きのものにすぎないことを示している。
【回答】
先ほどもお伝えした通り、(2017から2019年の3年間の実績点検作業は)特別に手作業で集計したものであるため、ご要望いただいているような2019年度以降の数字を集計するのは、現時点で考えていない。2024年度、令和6年度のもののうち、目安より下位とか目安が2つ以上で、下位に認定されているものの点検はいつまでに、というご質問については、今申し上げた通り、令和6年度以降の精神障害の不支給事案をまず優先しているところ、そちらが終了次第、実施する予定。現時点で明示的にお示しすることが難しい状況。令和7年度の不支給事案についても、今、6年度分の点検を行っていてこれは年内終了予定だが、7年度は可能な限り速やかにやっているが、現時点で目途を明示的にお示しすることが難しい。
【回答】
令和2年に、元年度の業務統計を初めて公表したが、この当初から業務統計の支給決定割合は、請求書に対する認定結果を集計した。認定日請求と事後重症請求をそれぞれ集計するには現状の集計方法の見直しという形になるのでシステム改修が必要になる。期間・費用の課題があるので必要性も含めて検討が必要だ。
【回答】
却下の理由というのは、初診日を特定できないために限らず、個々の審査内容に応じて様々であるため、特定の理由による集計というのは行っていない。これを集計公表するためには、現在の集計方法の見直しとともに、システム改修の期間費用の確保等の課題があるため、必要性を含め検討が必要。
[当会コメント]
初診日が特定できなかったり、初診日が認められなかったりして、障害年金が受給できないケースが2015年通知後も多く存在することを確認するうえで、このような初診日関連案件の集計と公表は行うべきであり、それを前提にシステム改修がなされるべきである。
【回答】
特定の条件による集計作業を行う必要があるが、現在そういった件数を集計していないことから、集計する場合はシステム改修や、集計方法の検討・見直しが必要になってくる。システム改修は期間・費用の問題があるため、その必要性も含めて検討が必要。
[当会コメント]
症状固定の範囲がアレよアレよというまに広げられ、受給できなかったり、支給停止となっている事案が確実に増えている。この問題性をまず厚労省は認識すべきである。このような案件の集計、公表は行うべきであり、それを前提にシステム改修がなされるべきである。
以上